2026.01.19NEWS
医療機関ネットワークの課題と向き合う
~安全管理と安定運用を両立させる“現実的な”考え方~

電子カルテやレセコンなど、今や診療業務に欠かせない情報システム。
しかし現場では「通信が不安定」「どこに何がつながっているのか分からない」といった不具合が続き、運用担当者がいないまま場当たり的な対応をしている
――そんな声をよく耳にします。
最新のクラウドサービスが使えない古い電子カルテを運用している医療機関では、設備更新が難しい分、既存環境を安全に維持するための工夫とサポート体制がとても重要になります。
本記事では、医療情報システム安全管理ガイドラインの考え方を踏まえ、現場で実践できるポイントを整理します。
ネットワークの複雑化が引き起こす“見えないリスク”

複数の業者が関わり、それぞれが個別に設定を行うことでネットワークは年々複雑になります。
設計時点では動作していた機器も、増設や設定変更で関係性が崩れ、誰も全体構成を把握できないまま運用されているケースが多く見られます。
ガイドラインでも、構成や接続ルールの明確化・文書化が推奨されています。
「現状を見える形に整理すること」こそが、将来起こるトラブルを防ぐ第一歩です。
組織の中に“全体を見れる担当者”がいないという現実

電子カルテ、医療機器、ネットワーク機器、インターネット回線
──それぞれを別の業者が担当しているため、問題発生時にどこから確認すべきか判断できないことも少なくありません。
トラブルの原因が曖昧なまま、“誰にも相談できない”状況に陥ることもあります。
そうしたときに頼りになるのが、**「仕組みを理解して課題の整理を手伝う立場」**です。
すぐ現場で修理をするわけではなくても、問題の切り分けや業者との調整をスムーズに進められるだけで、現場の負担は大きく減ります。
実務対応を代行するのではなく、良きコンシェルジュとして関係者をつなぎ、課題を整理する支援が理想です。
安定運用には“環境に合わせた見直し”が欠かせない

「光回線を引いているのになぜか遅い」といった相談はよくあります。
しかし実際は、回線そのものよりも、ルーターや配線、アクセスポイントの位置などローカル環境の設計が原因であることが多いです。
特に古い電子カルテやレセコンは、通信経路の変更に敏感なため、ネットワーク機器を入れ替えるだけでも動作に影響が出ることがあります。
そのため、現場の機器構成をしっかり把握し、**「どこなら変えても大丈夫か」**という判断を記録しておくことが重要です。
セキュリティは「守る」より「監視できる状態を保つ」

医療機関のネットワークで最も重要なのは、知らないうちに脆弱性を抱える状態を作らないことです。
機器やソフトの更新を怠れば、気づかないうちに外部から侵入可能な穴ができてしまいます。
ガイドラインでは、ファームウェア更新やログの取得、アクセス制御の実施が推奨されています。
24時間監視や即時対応といった体制を整えるのは難しくても、定期点検を確実に行い、状態を把握する仕組みを持つことで、多くのインシデントは防げます。
“目が届く範囲を守る”という姿勢を維持することが、『現実的なセキュリティ対策』です。
目指すべきは「完璧」ではなく「現場が安心して使える環境」
ネットワーク設計には正解がありません。
重要なのは、利用者が困ったときに原因をたどれる仕組みを作り、トラブルを局所化できる構成にしておくことです。
配線整理、機器台帳の整備、構成図の更新など、地味に見える作業もリスクを減らす大事なステップです。
完璧さよりも「不満の少ない、安定した運用」が現場には求められています。
まとめ:安心できる院内ネットワークは“共に見守る姿勢”から
- ネットワークの見える化とドキュメント整備
- 定期点検と更新のスケジュール運用
- トラブル時の情報整理と業者間調整
- ガイドラインを軸にした安全管理体制の継続
これらを支えるのが、「医療ITコンシェルジュ」的な立ち位置です。
私たちは、24時間体制での監視や即時駆けつけて復旧を行うことはできません。
その代わり、医療機関が複雑なネットワークを安全に維持できるよう、状況を整理し、最適な改善への導線を一緒に考える──そんな役割を担っています。
院内ネットワークに必要なのは、長く安心して使える設備と、いつでも相談できる相手。
“守るインフラ”と“寄り添うパートナー”、その両方がそろってこそ、医療の現場は安定します。
医療機関のネットワーク整備や安全運用に関するご相談を承っております。
初回ヒアリングでは現状をお伺いし、ガイドラインに沿った改善方針や設備選定の考え方を整理いたします。
ご関心のある方は、お問い合わせフォームよりお気軽にお知らせください。

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